不動産の豆知識

コラム

配偶者や子・孫の名義で貯めていた預金に相続税が掛かる!?

  “最後は少しでも何か遺してあげたい”というお気持ちで、配偶者様やお子様・お孫様名義の銀行口座に預金されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実はこの預金、適切な対策をしていないと自分自身が亡くなった際に「名義預金」として相続財産に含まれ、相続税の課税対象となる可能性が非常に高い事をご存知でしょうか。配偶者や子・孫の名義の通帳なのに、一体いつ・どのタイミングで「名義預金」として判断されるのでしょうか…それは、相続税申告後に行われる税務調査です。
 

 税務調査は必ずしも実施されるわけではありませんが、税務調査が入ると、申告漏れや誤り等が指摘される割合は約8割ともいわれています。
当然、申告漏れ等があった場合には修正申告を行い、相続税を納めなければなりませんし、加算税や延滞税を納める必要も出てきます。そして、「名義預金」が認定された場合は、改めてこの預金について遺産分割協議を行わなくてはなりませんので、せっかく家族の為に貯めてきていたものが、ご自身の想いとはと違う形で渡ってしまう危険性もございます。

 「名義預金」と判断されるポイントですが、以下の5つが挙げられます。  
  ①預金原資が口座名義人本人(配偶者・子・孫)か  
  ②口座名義人(配偶者・子・孫)がその預金口座の存在を知っていたか
  ③口座名義人(配偶者・子・孫)が自由に入出金出来る状態であったか
  ④通帳・キャッシュカード・印鑑の保管は口座名義人(配偶者・子・孫)がしていたか
  ⑤贈与契約が成立しているか

 

 税務署では、税務調査の際に金融機関側が10年間保管する口座情報を確認出来ますが、これは被相続人だけではなく相続人の口座も確認する事が可能です。その為、被相続人名義以外の口座も把握可能となり、「名義預金」の存在が分かってしまうのです。
 では、 「名義預金」として扱われない為にはどのようにすれば良いのでしょうか。それは、「生前贈与」として財産を渡すという事です。ただ、この生前贈与も贈与自体が無効とならないように、「贈与契約書」を作成したり、贈与するお金を「振込」で行ったり、贈与後にお金を貰った側が「管理可能な状態」にしておくことが重要です。
 因みに、贈与とは、民法549条で「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と規定されております。つまり、「あげる側」と「もらう側」の“双方の合意”が必要となります。その為、「もらう側」がそもそも贈与を受けたという認識が無ければ、贈与は成立しませんので注意が必要です。

 既に配偶者や子・孫の為に口座開設をしてお金を積み立てている方は、一度ご自身の口座にお金を戻し、改めてその貯めた金額を数年間で分けて改めて生前贈与する事も「名義預金」対策の一つです。配偶者の方やお子様・お孫様の為を想ってコツコツと積み上げてきた通帳と一緒に、改めて生前贈与する事でご家族の絆が更に深まるのではないでしょうか。

 このほか、預金として渡してしまうのは不安という事であれば、貯めてきた資金を原資として生命保険に加入する方法も考えられますし、結婚・子育て資金の一括贈与の際の非課税措置等もございます。
 どのような対応が望ましいか、今一度検討いただくことをお勧めいたします。

 

※記事引用元 (株)財産ドック 愛媛松山センター株式会社みのり商会
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